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システムトレーダー、ツチヤのひとりごと > システムトレード > 損切りをめぐる議論についての考察(追加説明)
2008年04月10日(木) 06:47 « 前の記事   次の記事 »

損切りをめぐる議論についての考察(追加説明)

損切りをめぐる議論でなかなか話がかみ合わない理由を考えてみた(^^;)。 これはやはり「システムトレード」というものの定義の違いに端を発すると思う。 以前のエントリーにも書いたとおり、私の定義する「システムトレード」とは、パターン認識による狭義のそれではなく、「メカニカルなトレードアルゴリズム」+「システマティックなオペレーション」であって、どちらかと言えば「定量的アプローチ」と呼ばれるものに近い。 そして具体的なモデルはマルチファクターモデルである。

さて、狭義のそれと広義のそれとの違いはたくさんあるが、ひとつの大きな違いは、前者がシグナル(?)を離散的に出すタイプなのに対し、後者は「期待リターンの確率密度分布」を時間的に連続的にもつということである。 わかりやすく言えば、前者は何かのセットアップやトリガーが成立したときにのみ、Sell/Buyという形で行動を起こすOn/Offタイプのシステムなのに対し、後者はその時その時に常にデータが更新され、それに基づいてモデルが期待リターンの確率密度分布をはじき出しているという違いがある。 

具体的には、例えば256の説明変数からなるニューラルネットワークモデルでもいいし、数種の説明変数を用いた線形の重回帰モデルでもよいが、なんらかのマルチファクターモデルを思い描いていただきたい。 このモデルに必要なデータは時間の経過と共に常に更新され、その演算結果が出力に反映される。 つまり時間tにおける期待リターンの確率密度分布は、時間t+1において期待リターンの新たな確率密度分布に取って代わられるのである。 この更新が常に連続的に行われることになる。

従って、ここにおいて(未来の)期待リターンの確率密度分布は、自分のポジションの値洗い損益とはまったく関係なく独立して与えられることになる。 よって、意思決定は常に期待リターンの確率密度分布によってのみ行われ、自分の既存のポジションの損益状況とは一切かかわりがない。 期待リターンの確率密度分布が有利な方向に建玉を維持するだけ(マルであれば新規に建て、既にあれば維持、反対であればドテン)である。 つまり「損切り」という概念そのものがはじめから存在しないのだ。

せいぜい年に1,2回程度、例外的に行われる「損切り」は、あくまで確率モデルで処理しきれない例外事項(アウトライヤー)の発生時にマニュアル操作でおこなうものであって、はじめからシステムのロジックに組み込んでおくべきものではないのである。 (「損切り」を前提としたロジックは狭義のシステムトレードにおいてもカーブフィッティングを招きやすいというデメリットをもつ)

ここまで書いてくると、そんな、時間的に連続して期待リターンの確率密度分布をはじき出すマルチファクターモデルが、どこに存在するのかという質問を受けるかもしれないが、実態としては、こういったモデルのほうが数の上でも、動かしている資金の額でも圧倒的に多数派なのである。 これは何度言っても一般投資家の方にはなかなか信じてもらえないのだが、むしろ狭義の「パターン認識によるシステムトレード」は極めて少数派なのだ。 同時にはじめから「損切り」を前提とした運用・トレードというのも少数派なのである。



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この記事に対してのコメント

1)損切りの定義
要するに、損切りの定義を
「価格ベースのストップを使うこと」
ということで、それを否定しているんですよね?
まずは定義が論点にしたいたので、これを冒頭で2,3行で説明してもらえれば、改めてこんな質問をしなくて済むんですけど(そうじゃなくて、言葉の定義の説明に100行必要なtermならば、安易に説明に使うべきじゃないと思います)。

2)システムについて
私が論点にしたいことは、
「過去に起きた出来事から形成されたモデルを、リスク管理という観点から投資家はどの程度受け入れるのか?」
という点についてです。
私の考えでは、この問題への対処は、期待値が低くなっても価格ベースのストップを使うか、想定外の引かされを許容した程度の投資金額にするか、だと現時点では考えています。
そうじゃなくて、土屋さんが上記で主張している"損切りをしないモデル"なるものも私のニーズを満足するものである、というなら、私も真面目にそれを勉強してみようと思います。
ただ、
「例外事象はせいぜい年に1,2回」
と、想定外の発生リスクを限定できる手法ってどんなものなの?と懐疑的になりますけど。

>例えば256の説明変数からなるニューラルネットワークモデルでもいいし

入手できるデータの種類の数という時点で、個人と機関投資家にはすさまじい差がありますね。結局個人は流動性相場で実力で儲けたつもりになって収縮相場ではひたすら利を吐きつづけるのでしょうね。まったくのカモネギですね。いい夢を見させていただきました。

しかし、アウトライヤーで行われる例外的な「損切り」で、秋山さんは致命的な打撃を被り、一時撤退を余儀なくされたんですよね?

システムトレードであるのに、アウトライヤーであるかどうかの判定は裁量で判断しなければならないのはなぜでしょうか?

以前、
「一般に、システムトレードにおいて用いられるマトモなモデルでは、その取り扱える範囲が決まっている。 それはちょうど、車や電化製品といった機械が、温度や湿度など、一定の範囲でしか性能の発揮を保証されていないのと同じように、使える範囲が決まっていて、そのレンジを外れたところでは使ってはいけない。」
と書かれていますが、
レンジが外れたことを判定するアルゴリズムをシステムに組み込むことは難しいということですね。

論理的にトレードするための仕組みがシステムトレードだと思っていたのですが、システムトレード自体が実は非論理的なのでしょうか。

>何度言っても一般投資家の方にはなかなか信じてもらえないのだが

 たぶん、たくさんあるという実例からたった1つでも、それを示せばそれで皆、納得するしかないと思います。

結局、土屋さんは
"ブラックボックス化してモデリングに注力する"
ということにフォーカスしているんだ、と私は理解しました。ならば、幾らでも論理的な話を出来るでしょうが、現在の私の興味の対象では無いですね。

純粋に学問の話ならそれはシステム工学のエキスパートに任せるとして、私はこのスレッドから失礼します。



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